多分書庫

飽きるまで読書感想文書きます

本日は、お日柄もよく

 

 

 

 

読んだ。これもジヴェルニーの食卓を貸してくれた人から借りた本だ。とにかくいいから読んでほしい、いつ返してくれてもいいからと。
間違いなく読んで良かったし、自分も人にそう言って勧めたい本になった。
スピーチライターという職業をこの小説で初めて知った。スピーチ原稿を書く専門の職業があるとは思っていなかったのだけれど、よく考えたらそういう職もあって当然だよなあと思った。

言葉は時に救済となり、時に暴力になるというのは有名な話だけれど言葉の持つ誘導性の描きかたがすごい。主人公のこと葉は好きだった幼馴染の結婚式で伝説のスピーチライターのスピーチを聞きそこから人生が一転していく。たった数分のスピーチを聞くだけで主人公の人生は大きく変わった。そこまで変わる人間は少ないかも知れないけれど、このたった数分のスピーチの吸引力がすごい。
何度もこの小説の中の言葉で泣きそうになった。伝説のスピーチライターが最も尊敬した人の言葉には読んだ人みんな泣いたんじゃないかな…、と思うほど良かった。この言葉を定期的に読むために自分用に買おうかなと思っている。
「本日は、お日柄もよく」というのは日本人であれば誰もが一度は耳にしたことのある定番の言葉だけれどこの言葉の素晴らしさが詰まった一冊。

実は私はお仕事ものが苦手であまり読まない。小説を読んでまで腹が立ちたくないからだ。でもそんな人にも読んでほしい。言葉を持って闘うこと、言葉が持つ意味と行動力。どのスピーチスピーチも最高の吸収力で圧倒されるので。

 

 

ただただ夢中で読んだ。ジヴェルニーの食卓を読み終わってすぐに読んだので原田マハってすごいなあと思いっぱなしだった。
人生で一度は読んでみて欲しいお仕事小説。これがお仕事小説なのかはわからないのだけれど。