多分書庫

飽きるまで読書感想文書きます

ジヴェルニーの食卓

 

 

 

 

読んだ。原田マハ氏は名前は知っていたものの天邪鬼なので読んでいなかった。
私は元々人から勧められた小説というものを読むのが苦手で基本的に読むことはほとんどない。雑誌で紹介された本も読まないのに、ダヴィンチなどは読むような人間だ。
私は立ち読みをしないと本が買えない人間で数ページ読まないと買うかどうするかを決められない。自分が読みたいと思った小説しか読みたくないので必然的にそうなってしまう。だから人から借りると言う行為が苦手でほとんどしてこなかったのだけれど、お世話になっている方からの借り物なので読み始めた。

めちゃくちゃよかった…。どの話もすごく静かで丁寧でまるでこの話に出てくる人物にインタビューでもしたのだろうかと思えるほどの解像度の高さ。原田マハってすごいんだなと思った。

四作ともとてもよかったのだけれど、私はエトワールが一番好きだった。芸術というものの残酷さというか人を踏み台にすることを厭わないことも芸術の一つになる狂気のような。パトロンを見つけるために舞台に立つ少女たちを見たときの感情、そして結局のところ芸術家もそれと等しい行為をしているのではないのか?というドガの発言。
芸術が帯びる狂気、芸術という言葉で片付けられてしまう恐ろしさ、芸術とは怪物なのだと思う。

 

 

印象派という新しいジャンルの中でもがいた芸術家たち。印象派という言葉は侮蔑的な意味でつけられたということを初めて知った。
芸術という得体の知れない何かに呑まれながらも芸術を愛した人々の話です。本当に良かったので一度読んでみて欲しい。自分の血肉になることができる一冊だと思う。